ラグビーワールドカップ開幕記念!
今週9月20日は豪華俳優陣が出演するラグビー映画の最高傑作「インビクタス/負けざる者たち」を放送します。4年前に日本が激戦を繰り広げたラグビー南アフリカ代表の実話に基づくドラマです。
舞台は、アパルトヘイト政策が廃止されたばかりの南アフリカ共和国。同国初の黒人指導者となったネルソン・マンデラ大統領は、対立する黒人と白人をひとつにするため国のラグビーチームを立て直すことに。南アフリカと世界を変えていくマンデラ大統領とラガーマンたちの姿は、諦めなければ奇跡は起きると信じさせてくれる――。
日本でラグビーワールドカップが開催される今だからこそ、より深く心に響く本作をぜひみて欲しい!どんな人でも楽しめるよう「インビクタス/負けざる者たち」の予備知識をまとめました。放送前にチェックしてみてください!
①南アフリカ初の黒人大統領ネルソン・マンデラ
1994年に南アフリカ初の黒人大統領に就任したネルソン・マンデラ。本作は彼が大統領に就任して数々の問題に直面しながらも、祖国を1つにし「虹の国」を目指す実話が描かれています。映画をみる前にネルソン・マンデラのことを予習しておきましょう。
ネルソン・マンデラは大学在学中にANC(アフリカ民族会議)に入党し、当時南アフリカが国の制作として掲げていたアパルトヘイト(人種隔離政策)に反対する運動に参加します。1952年に副議長に就任しますが、1961年に「民族の槍」という意味の軍事組織を作り、それらの活動から1962年に逮捕され、1964年に反逆罪で終身刑を宣告されます。
その後27年間もの獄中生活を送り、1990年にようやく釈放されました。1993年にはノーベル平和賞を受賞しています。
ネルソン・マンデラが大統領に就任した時、黒人が暴力的に支配権を奪い、白人に肉体的、精神的苦痛を与え、国から追い出してしまうようなことが起きかねない状況でしたが、マンデラは大変大きな智惠と愛情、平和の心をもって、国を治めたのです。試行錯誤していた当時の状況が本作ではとてもリアルに再現されています。
本作でネルソン・マンデラを演じ、マンデラの友人でもあるモーガン・フリーマンは彼について「マンデラに会うと分かるが、その存在感の大きさに圧倒される。それは自然と彼からにじみ出てくるもので、彼は人々を感動させ、よい方向に動かす。それが彼の天から授かった力なんだ。それを”マディバ・マジック”と呼ぶ者もいる。どんなマジックかはうまく説明できないけどね。」と語っています。
②南アフリカの希望となった「ラグビー」と代表チーム「スプリングボクス」
マンデラが大統領に就任した当時、ラグビーは白人が愛好するスポーツで、南アフリカ代表のラグビーチーム「スプリングボクス」はほとんど白人だったため、黒人からアパルトヘイトの象徴として嫌悪されていました。さらに、アパルトヘイトのために長年国際試合から追放されていたため、“南アの恥”と言われるほど、チームは弱体化していました。
しかしその1年後、南アフリカでのラグビーワールドカップ開催により、国の歴史が変わるターニングポイントとなる出来事が起きます。
スプリングボクスは国際試合の経験不足のために力不足は疑いようのないものでしたが、ワールドカップ開催国として自動的に出場が認められていました。スプリングボクスの選手をはじめ、誰もが勝ち進めるとは思っていませんでしたが、マンデラとスプリングボクスの主将フランソワ・ピナールを筆頭に、チームと国をひとつにするため、ワールドカップでの勝利を目指します。本作ではクリント・イーストウッドによりその過程が順を追って丁寧に描かれています。
マンデラ役を演じ製作総指揮も務めたモーガン・フリーマンはこの出来事に関して「歴史上、これほど突然に、そしてこれほど完全に、ひとつの国がまとまった瞬間を私はほかに思いつかない。私はこのストーリーの語り手になる機会を得られたことがとても誇らしい。いい意味で世界を揺るがせた出来事にあるにもかかわらず、知っている人があまりにも少ないストーリーなんだ。」と話しています。
マンデラ大統領とラガーマンが起こした奇跡を是非放送で観てみてください。きっと心に深く響くこと間違いなしです。
③マット・デイモン演じるスプリングボクス主将「フランソワ・ピナール」
マンデラは、スプリングボクスとラグビーワールドカップを、国を団結させる強力な道具に変身させることができる、と悟りましたが、ラグビーの勝敗は政府の閣議で決められるものではありません。
そこでマンデラは自分の目標達成に強力してくれる人物として、スプリングボクス主将のフランソワ・ピノールにアプローチします。この政治の舞台の中央に突然立たされることとなったラグビー選手を演じたのはマット・デイモン。マット・デイモンは本作でアカデミー助演男優賞にノミネートされました。
マット・デイモンもモーガン・フリーマンと同様に南アフリカ人特有のアクセントをマスターしなければなりませんでしたが、それだけでなく、肉体的なチャレンジも必要とされました。フランソワ・ピノール本人がかなり大柄なことを知ったマット・デイモンは不安に思ったそうですが、役のためにボクシングやウエイトリフティングで熱心に身体を鍛え見事に仕上げてきました。そして、マット・デイモンの身体が大きく、迫力のあるものに見えるよう、クリント・イーストウッドがシーンの構成やカメラワークを考え、ベテランのラグビー選手のようなシーンの数々が出来上がりました。
マット・デイモンはフランソワ・ピノール自身にも会い、主将としての考え方や95年当時のこと、練習メニューやラグビーそのもののことなど、たくさんのことをヒアリングしたそうです。このことについて「フランソワからはどれだけ助けてもらったか分からない。彼はとても高潔な人だし、僕はフランソワという人物をきちんと表現することに対しても、このストーリー自体に対してもとても大きな責任を感じた。」と語っています。
④95年当時を再現するための数々のこだわり
本作の撮影は南アフリカでの完全ロケで行われました。
撮影の大部分は海岸沿いの都市ケープタウンとその周辺で行われ、一軒の家をマンデラ大統領の自宅内部の撮影に使いました。自宅内部を再現した美術チームについて、マンデラの個人秘書ゼルダ・ラグレイジは大変称賛しており、「私はマンデラの家をよく知っているので、この家がどれだけ完璧な再現か分かる。部屋の様子なんてほとんど同じに思えたわ。そしてモーガン・フリーマンの声を聞いて、彼ほどそっくりな喋り方、しぐさができた人は見たことがなかった。」と話しています。家の外観シーンはヨハネスブルグにある実際のマンデラ邸で撮影されました。
また、クライマックスのラグビーの試合シーンも、実際の試合がおこなわれたヨハネスブルグのエリス・パーク・スタジアムで撮影されました。95年以降スタジアムの様子もかなり変化していたので、美術チームは徹底的なリサーチをし、当時のスタジアムをできるだけ再現し、最終的にはCGIで完成しました。ちなみに、スタンドの観客は、2000人余りのエキストラをモーション・ピクチャーで6万2000人に増大させています。
衣裳も綿密に95年当時を再現しています。現在のチームよりも短い短パンの丈ゆったりとしたジャージのシルエットや、布地にしても現在は合成繊維ですが、当時は綿だったため、この映画のために特別に布地を織ってもらって再現したそうです。
スタッフ、キャスト全員にとって、最も感傷的になったロケーションは、マンデラが30年近く閉じ込められていた実際の独房を含めたロベン島(別名:監獄島)の刑務所でした。ここでは誰もが心を動かされ、言葉を失っていました。
クリント・イーストウッドは「ロベン島へ行ったとき、誰しもがあの独房の狭さに驚いた。あそこで27年というおそらくは人生でもっともいい時期を過ごしながらも、出てきた時にあれだけ苦々しさのない心境のままでいられたというのはすごいことだと思う。」と振り返っています。
どんなに強い相手でも不屈の精神で戦う マンデラ大統領とラガーマンが、奇跡を起こす!
豪華俳優陣が出演するラグビー映画の最高傑作「インビクタス/負けざる者たち」は9月20日よる9時45分放送です。いつもとは放送時間が違いますのでご注意ください!