みなさんにご好評頂いております、『金曜リクエストロードショー』。今夜から2週連続で、お化け一家のホラーコメディー『アダムス・ファミリー』シリーズを放送します。
強烈なインパクトのアダムス一家の面々。CMなどでも使われたおなじみの音楽とともに、ちょっと怖くて愉快な一家の活躍をお楽しみください。
今回も、映画大好き芸人・こがけんさんに、30年以上経っても色褪せない、本作のみどころを紹介してもらいました。
本作の見どころを「映画大好き芸人」こがけんが、金曜ロードショーの直前に放送される「まもなく金曜ロードショー」(よる8時54分~/関東ローカル)で解説します!
【こがけん コメント】
●本作の魅力は…
本作はとても味わい深く面白い作品ですね。この作品の魅力は何と言っても...独特な世界観です。手首から先だけの〝ハンド〟というキャラクターの疾走シーンから始まる本作。もしかすると、のっけから置いてけぼりを 食らう人もいるかもしれません。 それもそのはず、映画が始まるやいなや、顔色の悪い夫婦が出てきて愛を囁き合い、霊をこの世に下ろす降霊会がどうのこうのと話してるところへ弁護士がやってきたと思ったら、その弁護士と夫とのチャンバラが始まるんです。人によってはこう思うでしょう。「おい、今一体何が起こってるか説明してくれよ!」と。
ただ、ご安心ください。焦らずともほどなくしてストーリーが見えてきます。序盤は細かいことは気にせずに、この独特のちょっぴり怖くて笑える世界観を受け入れること。それが本作を楽しむ秘訣です!
●“アダムス・ファミリー”とは…
そもそも、アダムス・ファミリー、アダムス一家がどんな人たちなのかといいますと、不気味な洋館に住むミステリアス な一家で、当主ゴメズの妻モーティシアとその母親は、なんと魔女の末裔なんです。その夫婦には物騒な遊びやイタズラを好む二人の子供や、大男の執事もいますが、全員顔色に血の気がなく、まるで幽霊みたいな雰囲気なんですね。
彼らが普通と違っているのは、それだけじゃないんです。それは、彼らにとって〝邪悪なことや忌まわしいことや不気味なこと〟はマイナスどころかプラスの出来事だということ。先祖は、異常人格者や殺人鬼みたいな人ばかりで、皆ろくな死に方をしていないんですが、彼らはそれを誇りに思ってるんですね。変わってるでしょう?(笑)アダムス一家は、世間一般の常識的な感覚とは全く異なる、独自の価値観で暮らしているんです。
本作のあらすじを簡単に説明しますと、アダムス一家の当主ゴメズの兄で、25年も失踪したままのフェスターという男になりすましたゴードンという男とその母親の親子が、屋敷に眠る金貨を狙って一家に近づこうとするお話なんですね。このゴードン、失踪した兄のフェスターにとても似ていることを利用して、母親の命令で偽フェスターとしてアダムス一家に 潜り込もうとするんですが、普通に考えてそんなのすぐにバレるはずじゃないですか?ただ、バレないんですよ。当主のゴメズは、かなり鈍感な男ですっかり信じて受け入れちゃうんですよ、ワクワクしますね。
●注目のシーンは…
もしかすると、本作に、過激な表現や残酷な表現が出てきそうだと思ってらっしゃる方もいるかもしれません。実際はそんなことはないんです。直接的な表現をせぬように撮影の工夫が随所に散りばめられてるんです。本作がファミリー向け映画として大ヒットした理由はそこにもあるんですね。
名シーンは色々とあるんですが、特に注目のシーンは、アダムス家の子供達の演劇のシーンです。アダムス家の子供達は一般の子供達も通う普通の学校に通ってるんですけど、そこで演劇の出し物をすることになるんです。ただ、彼らが普段家で遊びに使っているのはギロチン台とか電気イスですよ。嫌な予感がしますよね。(笑) 一体どんなことになるのでしょうか?必見です。
●こがけんの、更なる注目“深読み”ポイント
この作品の面白い点は他にもあって、それはアダムス一家への観客の見方が前半と後半でガラッと変わることです。 前半は、その奇想天外な行動のインパクトから、アダムス一家に全く共感できないんですね。
けれど後半、ある出来事を通して観客はアダムス一家に自分達と同じような人間味を感じるようになるんです。前半とは一転、グッと彼らに共感して、彼らのことを好きになってる自分に気づくんですね。本当に巧みな脚本だと思います。
さらに本作は、アダムス一家と、彼らの財産を狙う母子のクレイブン一家という二つの家族の違いを描く側面もあるんです。どちらの家族も一見、道徳的に問題のある家族です。
ですが、実は決定的に違います。それは、内面の豊かさの違いなんですね。
アダムス一家は全員が満たされていてノビノビしてるのに対して、ゴードンとアビゲイルのクレイブン親子はギスギスしています。アビゲイルは愛情と引き換えにゴードンをコントロールし盗みを強要する、いわゆる毒親なんです。ただ、物語が進むにつれゴードンに変化が起こります。それは一体どんな変化なのか...注目して観てみてくださいね。
ちなみに、本作のテーマソングはもちろんのこと、ブラックな笑いやゴシックなファッションは未だに人気で、ドラマやアニメなどに形を変えて親しまれています。日本でもCMのキャラクターに起用されたのを覚えている方も多いでしょう。
アダムス・ファミリーが今も愛されるのは、他人を気にせず自分達の幸せを追求する姿勢や、凜として気品ある暮らしを実践する姿が、現代を生きる私達にとても魅力的に映るところも大きいかもしれません。本作はちょっぴり怖いコメディながら、幸せの在り方の多様性を考えさせられる実に味わい深い作品です。
- 『アダムス・ファミリー』(1991 米)
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今夜9時00分~10時54分
◆監督:バリー・ソネンフェルド
◆出演:
<ゴメズ>ラウル・ジュリア(池田勝)
<モーティシア>アンジェリカ・ヒューストン(沢田敏子)
<ウェンズデー>クリスティーナ・リッチ(小林優子)
<パグズリー>ジミー・ワークマン(亀井芳子)
<グラニー>ジュディス・マリーナ(京田尚子)
<フェスター>クリストファー・ロイド(青野武)【ストーリー】
不気味な洋館で暮らす資産家で莫大な富を所持するアダムス・ファミリー。アダムスの一家は、家長のゴメズ、その妻であり子供達の母親モーティシア、長女のウェンズデー、弟のパグズリー、祖母のグラニーの5人家族。更に執事のラーチとハンドを加えた7人で広い屋敷の中で生活していた。しかし、この家族は全員どこか風変わりで”普通”ではない一家。ある日の晩、ゴメズは行方不明の兄フェスターに関する悪夢を見てしまう。その悪夢をきっかけにゴメズはフェスターの行方を探すことを決意するが…。