ストーリー
14歳と4歳の兄妹の“いのち”

昭和20年9月21日夜、ぼくは死んだ…。神戸三宮駅構内で、清太(辰巳努)は息を引き取った。所持品はドロップの缶だけ。死体を掃除していた駅員がその缶を放り投げると、中から小さな遺骨がこぼれ落ち、草むらに季節外れの蛍が舞い上がった。
3ヵ月前の6月9日、神戸は大空襲に襲われた。清太は心臓の悪い母(志乃原良子)を先に避難させ、幼い妹の節子(白石綾乃)を連れて後を追おうとするが、行く手を炎に遮られてしまう。炎が収まるのを待って、避難所の学校へと向かう清太。しかしそこには、変わり果てた姿になった母が…。母はそのまま息を引き取り、清太は節子と共に、神戸の東にある西宮の親戚の家へ。叔母(山口朱美)は2人を歓迎し受け入れたように見えたが、次第に清太たちに厳しい言葉を投げつけるようになる。

毎日小言を言われ、ご飯も満足に食べさせてもらえない叔母との生活に耐えきれなくなった清太は、叔母の家を出ることを決意。家から布団などを運びだし、節子と2人で池のほとりの横穴で暮らすことにする。
好きな時に好きなだけ食べられるご飯。はしゃいでいても誰からもとがめられることはない。お風呂も電気もないけれど、夜になったら蛍が灯りの代わりをしてくれる。自由な生活を手に入れ喜ぶ節子の姿に、ひと安心する清太。しかし、そんな生活は長くは続かなかった。食料はあっという間に底をつき、栄養失調になった節子のために清太は空襲の中を走り出していく…。